宝石の魅力の一つ、「変色効果」と「多色性」とは?

「変色効果」

「カラーチェンジ効果」、「アレキサンドライト効果」といった別名をもつ宝石の変色効果。これは光の種類や周囲の照明環境によって、宝石の色や輝きが変化する現象で、こういった特徴を有する宝石は”カラーチェンジストーン”などとも呼称され、高い人気を誇っています。

「多色性」

宝石の多色性とは、光源とは関係なく、異なる角度から見たときに色が変化して見える性質を指し、宝石をより美しく、そして魅力的に見せる重要な要素の一つです。

特に多色性が強い宝石には、熱烈な愛好家が存在するほど。


「変色効果」がある代表的な宝石

アレキサンドライト
変色効果の代名詞とも言えるアレキサンドライトは自然光の下では緑色、白熱光の下では赤紫色に変化します。6月の誕生石とされており、健康と幸福をもたらす石として知られています。

・カラーチェンジガーネット
カラーチェンジガーネットは、 自然光の下では灰色や茶色がかった緑色をしていますが、白熱光の下では色が変化し、赤色や紫色にも見えることがあります。
また、カラーチェンジガーネットは、1月の誕生石であるガーネットの中でも特に珍しい種類の1つとして親しまれています。

・カラーチェンジサファイア
カラーチェンジサファイアは、自然光の下では青色や紫色をしていますが、白熱光の下では緑色やピンク色にも見える場合があり、産地によって色が異なります。
カラーチェンジ サファイアは、9月の誕生石であるサファイアの特に珍しい種類の1つで、特にブラジルのカシャライ産のものは大変貴重とされています。

・カラーチェンジアメジスト
カラーチェンジアメジストは通常紫色をしていますが、白熱光の下では赤色やピンク色にも見えることがあります。カラーチェンジアメジストはもカラーチェンジガーネットやサファイアと同様、2月の誕生石であるアメジストの中でも特に珍しい種類の1つとして知られています。


「多色性」がある代表的な宝石

 ・タンザナイト
タンザナイトは、主に青色から紫色の範囲で色が移り変わる多色性を持つ宝石です。「多色性」を持つ宝石といったらまず挙げられるのが、やはりこのタンザナイトでしょう。

・アイオライト
アイオライトは、青紫色から黄褐色まで多様な色の結晶を持つ宝石で、紫に近い青色・淡い青色・灰色がかった黄色という三色がよく見られる傾向にあります。
また、精神安定したり集中力の向上などの効果があるとされ、ヒーリングストーンとしても人気があります。

・オレゴンサンストーン
オレゴンサンストーンは、主にアメリカのオレゴン州で産出される宝石です。
その多くは、その名が示す通りまるで太陽を閉じ込めたような淡いオレンジ色をしていますが、中には少し珍しいタイプとして、角度によって緑や黄色、赤などに発色する多色性をもつ個体が見られます。

・アパタイト
アパタイトは含有する成分によって様々な色を発色する、カラーバリエーションが非常に豊かな宝石ですが、色合いに関わらずそのすべてで多色性を有すると言われています。
また、非常に稀な個体ながら、カラーチェンジ効果をもつアパタイトも産出されたことがあるのだとか。



何が違う?変色効果と多色性

 名称が似通っていることもあり混同されがちな変色効果と多色性は、宝石の見た目の色が変化する点では共通していますが、その原因や特徴が全く異なります。

多色性は、宝石の結晶の方向によって屈折率が異なることにより光の吸収伝達に差が発生し、その結果として私たち人間の目に見える色が変化するために起こります。例えば、アメジストは内部に存在する結晶の影響で、観察者の角度によって紫やピンク、青など、複数の色が見えることがあります。

一方、変色効果は、光の種類や角度、周囲の照明環境によって、宝石の色や輝きが変化する現象で、内部の結晶には依存しません。前述のアレキサンドライトのように、自然光と人工光源で異なる色が見えるのが代表的な例です。

ひとつのルースで様々な表情を楽しめる、変色効果や多色性をもつ個性豊かな宝石たち。
是非、あなただけのお気に入りを見つけてくださいね。